◆【ラグビー近未来・夢】
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河北新報(2005年6月18 日ハーフタイム)より
宮城県ラグビーフットボール協会理事長
伊藤挺一朗
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例えば、ニュージーランドのオールブラックス。仙台スタジアムに世界最強のラグビーチームがやって来る。いや、ぜひ来てほしい。2011年ワールドカップ(W杯)の日本招致が実現すれば、私たちの目の前に、世界のスーパースターたちがその雄姿を見せてくれるのは間違いない。
招致に全力を尽くす日本ラグビー協会は、仙台スタジアムを競技場の1つに予定している。
日本開催が決まればアジア初のW杯ラグビー開催でもある。そのインパクトの大きさを思い、国際ラグビーボード理事会が開催地の決定を下す今年11月を前に、今から胸をときめかせている。
仙台スタジアムと言えば、日本のトップリーグ公式戦が今年10月16日に行われることが決定済みだ。東北・北海道で唯一のゲームとなり、国内で最も人気の高いスーパースター軍団サントリーと新興チームの雄セコムが対戦する。
これに先だち、全国高校ラグビー宮城県予選の決勝戦も、仙台スタジアムで行われる。
ラグビーは、県内に限って見ただけでもさまざまな課題を抱えている。「普及」に関していえば、小・中学生や女子の層の薄さがある。高校については、男女共学化などによる部員の減少が指摘されている。
国体等全国大会を勝ち抜く「強化」の問題となると、財源の確保、クラブ化への移行などが大きな課題に挙がっている。県ラグビー協会、各チームの指導者が一体となっての知恵と力の結集が必要となっている。
少子化の中、他人を思いやる健康で心豊かな子供を育てるためにも、親や地域は子供たちを各種のクラブ・スポーツ活動に参加させていくことが必要ではないか。極論になるが「勉強・ゲーム遊び」は少しでいい。
私たちは、今後も試行錯誤を繰り返していくだろう。それでも、「ラグビー人気大爆発」という夢を忘れず、魅力あるゲームを仙台に招くなどして、一人でも多くのラグビープレーヤー、サポーターを増やしたい。ラグビーのそんな夢追い人でいつもいたい。
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◆【ラガーのスポーツ感】
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河北新報(2005年5月21日ハーフタイム)より
宮城県ラグビーフットボール協会理事長
伊藤挺一朗 |
今、宮城のラグビーで熱心さ、練習量、酒量など、日本のトップレベルに最も近いのは仙台有惑クラブ(40歳以上)である。
60歳代の人たちが中心で、年中、毎日曜日休みなく県営ラグビー場で共に練習する中学・スクールの子どもたちを圧倒する迫力で走り回り、声を出している姿は鬼気迫るものがある。
ラガーは子ども好きで、あらゆるスポーツが好きで、酒が好きなのが多い。私もその典型で、今、ゴルフに凝っている。キャリアは、30年以上になるが、なぜか上達しない。馬力もあるし、練習もし、コースにも出ている。ある人に言われた。ラグビー、柔道など、勝負のとき体に力を入れる格闘技系の人間はゴルフの打つ瞬間に無意識に体に力が入る、それが駄目だと。確かにラグビーでは、スクラム、タックルなど当たるとき、体に力を入れる。それが持ち味である。野球やテニス、陸上をしていたゴルフ仲間は飛ぶし小技もうまい。周りを見ても、私を含めてラガーにゴルフがうまいのは、ほとんどいない。宿命か。と、変な理屈をつけて自分を納得させているが、まだまだ頑張って楽しむつもりでいる。
私もラグビーの魅力に取り付かれて四十数年、プレーヤーとしての自分、仙台育英高校というスポーツに理解のある職場で指導者として過ごせたこと、途切れたことない仲間たちとの友情、数多くの教え子たち、本当に恵まれた環境に感謝するとともに、勝負にこだわるだけでない、スポーツの持つ独特の先輩・後輩のつながり、不思議な連帯感などの素晴らしさを伝えていく責任も感じている。
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◆【ラグビー宮城】
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河北新報(2005年4月23日ハーフタイム)より
宮城県ラグビーフットボール協会理事長
伊藤挺一朗
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宮城のラグビーは、2004年度、新しい歴史をスタートさせたといえる。国体出場を懸けた東北大会で成年、少年が共に優勝し、国体で総合3位の結果を残した。前にも地元開催の国体で総合2位になったことがあるが、東北大会の両方優勝は宮城ラグビー史上初の快挙で、東北代表のその成年、少年による「国体総合3位」も過去最高の成績であった。
東北のラグビーといえば、秋田県(秋田工高)岩手県(新日鉄釜石、盛岡工高)に代表されたものだが、最近5年を振り返ってみると、仙台育英など宮城勢の活躍が目立つ。大学は東北福祉大と東北学院大が覇を競い、社会人も東北大会で2年連続で優勝している。高専は宮城高専が全国大会で優勝を重ねている。
ところで近年、ラグビーはサッカーに完全に押されている。その魅力は決してサッカーに負けないのに、である。私自身ラグビーに魅せられ、プレーヤーあるいは指導者として、ラグビーに長年かかわってきた。
サッカーの場合、子どもたちの組織化に小学生、中学生の段階からしっかり取り組み、スタート時心配されたプロ化も、今や大成功を収めている。グラウンドがラグビーと競合するだけに、学ぶべき点は多い。
考えてみると、ラグビーは伝統的にスターをつくることを嫌う。「プレーヤー全員の力を結集させ戦うのがラグビーだ」というのは正論で、私もそう指導してきた。
だが、野球のイチロー、卓球の愛ちゃん、ゴルフの藍ちゃん…と並べるまでもなく、スターの魅力が競技人気、人口そのものを大きく変えている。ラグビーもスターをつくろうなどと言うと先輩、関係者らから怒られるかもしれない。しかし、時代は変わっている。
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<いとう・ていいちろう氏>北海道北見北斗高、東北学院大卒。03年3月まで仙台育英高教諭(国語)。同高ラグビー部長を37年間務めた。うち24年間は監督を兼務。関東ラグビー協会評議員、仙台ニュージーランド協会理事など現職多数。県ラグビー協会理事長は就任20年目。62歳。
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◆【RUGBYにおいて忘れてはならない3つの原則】 |
平成17年6月14日
匿名 ・ 長闘球さん
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先日ある講演会で、リコーの伊藤さんのお話を聞く機会がありました。氏はオール早稲田の監督経験や、現役時代のイギリス遠征の話などを、スライドを交えながら、非常に楽しく話してくださいました。その中で、今更ながら再確認しておかなければならないことを思い出させてくれました。
RUGBYにおいて、忘れてならない3つの原則です。
「Fair Play」、「All For One,One For All」、「No Side」
RUGBYは体と体が接触する激しいスポーツです。激しいがゆえに上記3原則は、暗黙のうちに守られてきたのです。
興奮に任せてラフプレーなどは指導者から硬く禁じられ、チームの勝利のための自己犠牲の精神、そして試合終了後にはお互いに健闘を讃えあい、アフターファンクションで友達となる。一昔前の指導者は「トライを取っても決してその喜びを態度に表してはいけない。トライをしたのは君かもしれないが、君がトライを取るまでに何人の仲間が貢献してくれたかをまず考えることだ。と指導してきたはずです。体と体をぶっつけ合うことで互いに分かり合い、高めあうこと、それこそがRUGBYの素晴らしさだったと思います。
最近のRUGBY、特に宮城県内のいわゆるクラブチームによるものから、高校RUGBYなどを観戦していると、残念に思うことが多いようです。社会人では、ラフプレーの多さが目立ちます。殴ったり蹴ったり、とても子どもたちに見せられないような試合もあります。No Side後の勝利チームの、見下したような態度。お互いの健闘を讃えあうような素振りが見られることは極めて稀です。キャプテンシーの低下。ゲーム終了後レフェリーや相手チーム主将と握手を交わす姿が見られなくなりました。
高校RUGBYにいおいては、保護者の方々によるマナーの低下がはなはだしいようです。自チームを応援するだけでなく、相手チームの品格に欠ける野次、罵倒するような言動。またしても一昔の話で大変恐縮ですが、トライ後のゴールキックを狙うときは、敵味方関係なくグラウンドが静寂に包まれたものです。それはまるで神聖な儀式のようでさえありました。それが、相手チームの応援席から「はずせ〜っ」と大声で野次が飛ぶようでは、すでにRUGBYではないような気さえしてしまいます。とても、学校教育の一環とは思えないような状態です。
今年4月からの選択ではあるものの小学校の体育の時間にタグラグビーが組み込まれたようです。ぜひRUGBYの素晴らしさを児童たちに理解してもらい、RUGBY人口の増加に繋がればと願っております。
伊藤氏曰く「RUGBYは少年をいち早く男にし、大人をいつまでも少年でいさせてくれるスポーツだ」未来のラガーマンたちがRUGBYの魅力に引き込まれるような、環境を作って行きたいものです。そのためにも一度確認しましょう。
「Fair Play」、「All For One,One For All」、 「No Side」
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◆【ラグビーがもたらしてくれるもの】 |
平成16年12月23日
匿名 ・ ラグビー愛好者さん
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最近、日本ラグビー界を取り巻く環境がにわかにあわただしくなってきた。2011年に開催される第7回ワールドカップの招致を、日本協会がIRBに正式に表明したのだ。
先日、ラグビー専門誌でW杯日本招致実行委員会GM(ゼネラル・マネージャー)に就任した平尾誠二氏のインタビューの記事を見た。平尾GMはその中で『今、日本に足りないものはラグビーだ』という招致活動で使われていくコピーを次のように解説している。「ここでいうラグビーとは、スポーツとしてのラグビーではなく、ラグビーという思想です。(中略)連帯感、一体感とか、プレイの繊細さ。われわれが失ってきたものに何かつながってきている。単なるスポーツというだけではなく、そこにある思想的なもの、 哲学的なもの、文化的なものを、いまの日本は失いつつある。ラグビーの本質は、日本全体にとって必要なメッセージです」
この記事を読んで、ふと思い出した逸話がある。10数年前に、あるラグビーの大先輩との懇談の席で聞かされた話だ。氏は還暦を過ぎてもまだ関東の不惑チームでプレイしており、見るからに屈強な体躯とその風貌は存在感があり、頼もしい日本の父親像といった感じであった。
氏の話は学生時代のひとつの試合から始まった。その試合の話はこうである。勝敗の行方が最後まで分からないほど拮抗した試合展開となったが、小差で氏のチームが敗れた。フォワードだった氏がスクラムで反則を犯し、その地点からのペナルティゴールで逆転され、そのままノーサイドになってしまったという。氏は自分の犯した反則でチームが負けてしまったことで、仲間たちに対し申し訳なさを感じていたが、そのことを口にすることができなかった。その後、ずうっとこころのどこかにそのことに対する気持ちを持ち続けていたという。40年以上経て、当時の仲間である友人と酒を飲み交わし、学生時代の話になったとき、氏はついに自分のなかにしまい込んでいた話をした。すると、その友人は「あの試合のことでは、自分もずうっと話したいと思っていたことがある」という。友人が話した内容とは、あの試合でキッカーであった自分が簡単なペナルティゴールをはずしてしまった。そのことでチームが敗れてしまったという自責の気持ちであった。二人は、互いの話を聞きあい「なあんだ。お前もそうだったのか」ということになり、仲間の絆の深さを再確認したという。
ともすれば、失敗やミス、試合の負けなどの原因を弱者や他人に押し付けてしまう現代日本社会のなかで、この逸話のなかの二人の交流はうらやましい限りの光を放っている。
先ごろ、関東ラグビーフットボール協会、水谷競技委員長から「ラグビーの伝統を守ることについて」という通達文が出された。そのなかに記されていた「ラグビー憲章」(原文和訳)をそのまま下記に示させていただき、ラグビーがもたらしてくれるものの何かを感じていただければ幸いである。
Rugby Charter Conclusion”
Rugby is valued as a sport for men and women, boys and girls. It builds teamwork, understanding, co-operation and respect
for fellow athletes. Its cornerstones are, as they always have been, the pleasure of participating; the courage and skill
which the game demands; the love of a team sport that enriches the lives of all involved; and the lifelong friendships
forged through a shared interest in the game.
It is because of, not despite, Rugby’s intensely physical and athletic characteristics that such great camaraderie exists
before and after matches. The long standing tradition of players from competing teams enjoying each others company
away from the pitch and in a social context, remains at the very core of the game.
Rugby has fully embraced the professional era, but has retained the ethos and traditions of the recreational game. In an
age in which many traditional sporting qualities are being diluted or even challenged, Rugby is rightly proud of its ability to
retain high standards of sportsmanship, ethical behaviour and fair play. It is hoped that this Charter will help reinforce
those cherished values.
ラグビーは男性・女性、少年・少女のためのスポーツとして、チームワークや仲間への理解、協力、尊敬を築く。ラグビーにとって、初めからずっと基礎になっていることは、参加する楽しさ、ゲームでの勇気と技術、携わるすべての人の人生を豊かにするチームスポーツへの愛着、ゲームを通して深まる終生の友情、である。
ラグビーが激しい格闘なので、ゲームの前にも後にも深い友情がある。チーム同士の選手たちがフィールドを離れたあとで、社会生活のなかでもずっと仲間であることは、長く続くラグビー選手たちの伝統であり、それがゲームの要であることは変わらない。
ラグビーは、プロであってもそうであるが、自らの人生を楽しむゲームという伝統と精神を保っている。多くの伝統的スポーツの性質が失われるか、あるいはその性質が疑われている時代に、ラグビーは、スポーツマンシップの高い水準、道徳的なふるまい、フェアプレーを保つことの可能性を誇るにふさわしいものである。
この憲章が、これらラグビーの賛美するべき価値を再認する一助となることを希望する。
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